占領期における性売買の実像を浮かび上がらせる 原資料の刊行！

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　日本占領期研究には、ジェンダーやセクシュアリティの視点からの研究が少ないようですが、本書に収録されたGHQ/SCAP関係文書は、戦後の直後に日本政府が用意し、占領軍が利用した RAA（特殊慰安施設協会）関係のものが収集されています。今日問われている歴史認識の一つである日本軍「慰安婦」問題との関連を考える上でも貴重な手がかりとなる資料といえます。これらについては、日本では保管資料がほとんど残されていないのですが、今回刊行した「PHWS（公衆衛生福祉局）」を中心とする米国側の資料は、その意味でもまさに第一次資料といえます。

　この資料集から、占領軍兵士を守るために「日米合作」で行われた性病のコントロールや、街娼の「狩り込み」、売春取締り（供述調書など）と性病予防のためのＧＨＱと日本政府の詳細なやり取りといったこれまで公にされてこなかった性売買に関する実態が本資料によって明らかになることでしょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　ジェンダーの視点から「占領と性」という普遍的な課題を考える上でも、まさに示唆に富んだ資料といえます。

　なお、本資料集は、監修者がワシントン・ナショナル・レコード・センターで 10,129箱にも上る GHQ /SCAP文書の中から、一つひとつ文書を閲覧しながら吟味のうえ収録集したものです。

　それにしても日本政府がアメリカ占領軍の兵士のために売春を積極的に奨励したという事実には驚かざるを得ません。