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日本茶の近代史ー幕末開港から明治後期まで
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​ニュースの続き

2017年7 月に刊行された、『日本茶の近代史』が茶道文化学術奨励賞を受賞しました。授賞式は、2018年6月8日、神田の学士会館講堂で行われます。本書は2015年の政治経済学・経済史学会春季大会・博論報告研究会で報告された論文を1年かけてまとめたもので、日本茶の発展と国際化を日本経済史の観点から描いたものです。従来の日本経済史研究において、製茶業は輸出産業として生糸に次いで重要視されてきたもののなかなか研究が進んでこなかった分野ですが、ここで近代の製茶業の姿が明らかにされています。特に本書では製茶業における再製という加工工程に着目し、それまでとは異なる製茶業史の流れを浮き彫りにしています。そのほかにも、欧米人・清国人と近代日本の経済発展との関係性や、既婚女性の工場労働者や居留地労働への視点、開港場への商品流通をめぐる産地の経済主体(廻船問屋)の動きなど、多くの論点が示されています。

日本茶の近代史ー幕末開港から明治後期まで

​粟倉大輔著​​​

出版年月2017年5月

ISBNコード978-4-909560-65-3

本体価格  5,800円

A5判・上製

頁数・縦324

内容

幕末開港後、居留地における茶再製技術によって飛躍的な産業化、輸出化が進み、それは港湾、鉄道の資本整備など、廻船問屋をはじめとする生産地の人々にも大きな影響をもたらした。生糸と並んで日本の近代化を支えた「お茶」の歴史。

目次

序章 課題と方法

 1.課題の設定

 .本書の構成と先行研究
第1章 明治期の製茶業における荒茶生産

 第1節 生産量・茶園面積・製造戸数

 第2節 各種茶とその生産量

 第3節 茶の主要生産府県におけるその生産傾向


第2章 明治期日本の茶再製―横浜と神戸の事例を中心に

 第1節 中国における再製技術とその導入

 第2節 茶輸出の展開

 第3節 日本人による再製・直輸入への進出とその挫折
 

第3章 横浜・神戸の「再製茶女工」

 第1節 お茶場における労働

 第2節 お茶場に働きに出た女性たち

 第3節 「再製茶女工」の賃金

 第4節 「再製茶女工」に対するイメージと「お茶場唄」

 第5節 「再製茶女工」関連記事の社会的背景
 

第4章 海運の整備と製茶業

 第1節 静岡県から横浜への茶移出

 第2節 清水港と清水廻船問屋

 第3節 静隆社と清水廻船問屋

 

第5章 鉄道網の整備と製茶業

 第1節 東海道線開通と静岡県

 第2節 東海道線による静岡県から横浜への茶移出

 第3節 静岡鉄道と茶輸送


第6章 清水港の緑茶輸出港と静岡県における再製事業

 第1節 清水開港運動

 第2節 開港後の清水港と緑茶輸出

 第3節 静岡県中部および中西部の「再製地」化


終章 総括と展望

​著者紹介

粟倉 大輔(あわくら・だいすけ)

1984年 静岡県清水市(現静岡市清水区)に生まれる

2007年 中央大学経済学部卒業

2015年 中央大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)

現在 明星大学非常勤講師

主な論文 「東海道線開通前の静岡県の茶業と海上輸送」『中央大学大学院研究年報(経済学研究科篇)』第39号、2010年、「明治期における『再製茶女工』とその再評価」『中央大学経済研究所年報』第43号、2012年、「明治前期における清水港から横浜への製茶移出と清水廻船問屋」『社会経済史学』第79巻第2号、「明治期における製茶生産の展開と各種製茶—生産統計の分析を中心に—」『経済学論纂』第56巻第1・2合併号、2015年、「東海道線開通前の静岡県の茶業と海上輸送」『中央大学大学院研究年報(「明治期の東海道線開通と沿線地域産業—静岡県の製茶業を事例として—」『鉄道史学』第34号、2016年など。

『日本占領期性売買 GHQ関係資料』

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